簿記の勉強⑨

資格挑戦日記

今回は有形固定資産の売却や減価償却についてです。最終的に作成する貸借対照表の原価償却累計額(資産のマイナス)や損益計算表の固定資産売却損(費用)、固定資産売却益(収益)、減価償却費(費用)の金額などに関する学習です。

1.有形固定資産の売却

・有形固定資産の売却

企業では、不要になった有形固定資産を売却することがある。

例として、A社はB社にこれまで保有していた土地を売却し、代金はあとで受け取ることにする。このとき、代金をあとで受け取る権利については、未収入金勘定(資産)に記入する。

今回のポイントは「いくらの土地をいくらで売ったか?」である。この差額は収益または費用として処理する。

取得原価=いくらの土地(帳簿価格)をいくらで売ったか(売却価格

いくらの土地か(いくらで購入した土地か)は、土地勘定を見れば把握ができる。土地勘定の借方にはその土地の取得原価が記入されているからである。この金額は、帳簿上の土地の金額ということから、帳簿価格簿価)という。

また、いくらで土地を売ったかは売却先から受け取る金額なので、これを売却価格という。

この売却価格と帳簿価格の差額により、固定資産売却益(固定資産を売却して儲かったか、損したか)を計算する。

・固定資産売却損益=売却額帳簿価格

  • 計算結果がプラス(売却価格帳簿価格)のとき→固定資産売却益収益
  • 計算結果がマイナス(売却価格帳簿価格)のとき→固定資産売却損費用

売却価格帳簿価格のときは「購入したときよりも高く売れた」ということなので、その差額分だけ儲かったといえる。よって、これは当期純利益を増やすことになるため(収益の発生)、固定資産売却益勘定(収益)の貸方に記入する。

逆に、売却価格<帳簿価格のときは「購入した時よりも安くしか売れなかった」ということなので、その差額分だけ損してしまったといえる。よって、これは当期純利益を減らすことになるため(費用の発生)、固定資産売却損勘定(費用)の借方に記入する。

<例>次の取引について仕訳をしなさい。

  • 1.不要となった土地(帳簿価格2500円)を3800円で売却し、代金は後日受け取ることにした。
  • 2.不要となった土地(帳簿価格2500円)を2100円で売却し、代金は現金で受け取った。

1.土地の売却

仕訳

借方科目:未収入金:3800円 貸方科目:土地:2500円/固定資産売却益:1300円

帳簿価格が2500円の土地を売却したため、土地が減少したことを土地勘定の貸方に記入する。また、代金3800円(売却価格)は後日受け取るため、その権利を未収入金勘定の借方に記入する。

そして、売却価格と帳簿価格の差額により、固定資産売却損益を計算する。

固定資産売却損益:3800円(売却価格)-2500円(帳簿価格)=1300円(プラス→売却益)

よって売却益1300円を固定資産売却益勘定の貸方に記入する。

2.土地の売却(売却損の発生)

仕訳

借方科目:現金:2100円/固定資産売却損:400円 貸方科目:土地:2500円

帳簿売価が2500円の土地を売却したため、土地が減少したことを土地勘定の貸方に記入する。また、代金2100円(売却価格)は現金で受け取ったため、現金勘定の借方に記入する。

そして、売却価格と帳簿価格の差額により、固定資産売却損益を計算する。

固定資産売却損益:2100円(売却価格)-2500円(帳簿価格)=△400円(マイナス→売却損)

よって、売却損400円を固定資産売却損勘定の借方に記入する。

2.減価償却

有形固定資産は、長期にわたって使用するため、最終的に使えなくなってしまうまでの間で徐々に価値が減少していく。

減価償却とは、有形固定資産の価値が当期に減った分当期の費用として処理をし、同時に資産の減少を処理することをいう。この費用は、減価償却費勘定(費用)の借方に記入する。

また、有形固定資産が減少したことは、減価償却累計額勘定の貸方に記入する。このように、減価償却累計額は、資産のマイナスを記録するための勘定である。

建物について、当期の減価償却費を計上する(勘定にきにゅうするための)仕訳は次のようになる。

仕訳

借方科目:減価償却費:*** 貸方科目:減価償却累計額:***

・決算整理仕訳

当期の減価償却費を計上する仕訳は、決算日に行う。この決算では、総勘定元帳のすべての勘定の残高が財務諸表に記載する正しい金額になるように、いちぶの残高のを修正するための仕訳を行う。この仕訳を決算整理仕訳といいう。

当期の減価償却費を計上する仕訳は、この決算整理仕訳の一つである。

・減価償却費の計算方法

当期の減価償却費を計上するには、当期に有形固定資産の価値がどれだけ減ったかを計算しなければならない。とはいえ、「その有形固定資産を今売却したら○○円しか売れないから、去年と比べて○○円だけ価値が下がった」など考えるわけではない。減価償却の計算は、規則的に行うことがルールとされている。

原価償却の計算を規則的に行うための3つの要素が、

1.取得原価…有形固定資産をいくらで取得したかの金額(本体価格+不随費用)

2.耐用年数…有形固定資産を取得してから使えなくなってしまうまでの年数

3.残存価格…ちょうど耐用年数が経過したときに、残っている価値

・定額法による計算

限界償却費=(取得原価残存価格)÷耐用年数

このような計算方法を定額法という。(各会計期間の減価償却の金額が一定額(つまり同額)になるから)

また、当期中(当期の途中)に購入した有形固定資産の減価償却費の計算方法は次のようになる。

〇ヵ月分減価償却費=(取得原価-残存価格)÷耐用年数×〇ヵ月÷12ヵ月

このような計算を月割計算という。〇ヵ月は、有形固定資産を取得した月から決算日までの月数である。例えば、有形固定資産を20X1年7月1日に取得し、決算日が20X2年3月だった場合、その月数は9ヵ月となる。

補足

有形固定資産を’月の途中’で購入した時は、その月をまるまる1ヵ月としてカウントする。

<例>次の資料に基づき、決算整理仕訳を行いなさい。

  • 1.決算にあたり、建物の減価償却を行う。この建物は当期首に購入したものであり、取得原価は20,000円である。(耐用年数:10年、残存価格:取得原価の10%)。減価償却費の計算は定額法により、減価償却費の記帳方法は間接法による。
  • 2.決算にあたり(決算日:20X2年3月31日)、備品の減価償却を行う。この備品は当期の20X1年11月1日に購入したものであり、取得原価は9600円である。(耐用年数:4年、残存価格:ゼロ)。減価償却費の計算は定額法により、減価償却費の記帳法は間接法による。
  • 3.決算にあたり、(決算日:20X3年3月31日)、備品の減価償却を行う。この備品は前期に購入したもの(上記2の備品)であり、取得原価は9600円である。(期首減価償却累計額:1000円、耐用年数:4年、残存価格:ゼロ)。減価償却費の計算は定額法により、減価償却費の記帳方法は間接法による。

1.建物の減価償却

借方科目:減価償却費:1800円 貸方科目:建物減価償却累計額:1800円

原価償却費の計算

建物は当期首に購入しているため、当期の1年分の減価償却を計算する。

減価償却費=(取得原価-残存価格)÷耐用年数

=(20000円-20000円×10%)÷10年=1800円

<決算整理仕訳>

原価償却費1800円を減価償却費勘定(費用)の借方に記入する。同額の建物の価値の減少額1800円を建物減価償却累計額勘定(資産のマイナス)の貸方に記入する。

建物の価値の減少額を建物勘定の貸方に直接記入せずに、ほかの勘定(建物減価償却累計額)に記入することから、このような記帳方法を間接法という。

<勘定記入>

建物の取得原価20000円(建物勘定の残高)から当期の建物減価償却累計額1800円を差し引いた18200円は、当期末寺点の建物の帳簿上の価値を示している。この金額を当期末時点の帳簿価値という。

2.備品の減価償却(1年目)

借方科目:減価償却費:1000円 貸方科目:備品減価償却累計額:1000円

<減価償却費の計算>

備品は当期の途中(20X1年11月1日)に購入しているため、決算日(20X2年3月31日)までの5ヵ月分の減価償却を行う。

減価償却費=(取得原価ー残存価格)÷耐用年数×〇ヵ月÷12ヵ月

=(9600-ゼロ)÷4年×5ヵ月÷12ヵ月=1000円

<決算整理仕訳>

減価償却費1000円を減価償却費勘定(費用)の借方に記入する。同額の備品の価値の減少額1000円を備品減価償却累計額勘定(資産のマイナス)の貸方に記入する。

<勘定記入>

当期末時点(20X2年3月31日時点)の備品の帳簿価格は、備品の取得原価9600円(備品勘定の残高)から当期末の備品減価償却累計額1000円を差し引いた8600円である。

<貸借対照表>

貸借対照表への記載は次のようになる。

備品の取得原価の9600円から減価償却累計額の1000円を差し引いた8600円(帳簿価額)を当期末時点の備品の価値として示している。

3.備品の減価償却(2年目)

借方科目:減価償却費:2400円 貸方科目:備品減価償却累計額:2400円

この問題の決算日は20X3年3月31日なので、前の問題の決算日(20X2年3月31日)から1年が経過している。よって、前の問題での備品減価償却累計額1000円は、当期から見ると、期首の減価償却累計額ということになる。

<減価償却費の計算>

当期は1年間、この備品を使用したので、決算日(20X3年3月31日)までの1年分の減価償却費を計算する。

減価償却費=(取得原価-残存価格)÷耐用年数=(9600-ゼロ)÷4=2400

<決算整理仕訳>

減価償却費2400円減価償却費勘定(費用)の借方に記入する。同額の備品の価値の減少額2400円を備品減価償却累計額勘定(資産のマイナス)の貸方に記入する。

<勘定記入>

当期末時点(20X3年3月31日時点)の備品の帳簿価額は、備品の取得原価9600円(備品勘定の残高)から当期末の備品減価償却累計額3400円を差し引いた6200円である。

<貸借対照表>

貸借対照表への記載は次のようになる。

備品の取得原価の9600円から減価償却累計額の3400」円を差し引いた6200円(帳簿価額)を当期末時点の備品の価値として示す。

今回は以上となります!1月は仕事がかなりハードで帰りも遅く、帰ってきても子供が頑張って起きてるのを寝かしつけたと思ったら夜泣きで寝不足のループにはまっていてなかなか捗っていません…。あと1ヵ月もすれば本番なので頑張っていきたいと思います!

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